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No.14 食物アレルギーについて

2015.08.17

原因となる食物は?

わが国の食物アレルギー患者数は約150万人を上回るともいわれています。またその症状は様々で、皮膚や粘膜、消火器、呼吸器などに現れるほか、アナフラキシーショックにより生命の危険にさらされる場合もあります。ここでは色々な食物アレルギーについてご説明いたします。
わが国における食物アレルギーの3大原因食物は、鶏卵、牛乳(乳製品)、小麦であるといわれています。各国の食文化や民族性の違いで食物アレルギーの原因となる食物も違ってきますが、わが国特有のものとしては、そばやイクラが挙げられます。かつて大豆が原因食物の3番目にあがっていましたが、食生活の西洋化に伴い、大豆に変わって小麦が3番目に入っています。食物アレルギーの原因食物として主要3食物が全体の約2/3を占め、上位10食物で全体の90%を占めます。食物アレルギーはあらゆる食物が原因となり得ますが、その頻度には大きな偏りがあり、主要原因食物がほとんどの割合を占めるということをご理解いただきたいと思います。

食物アレルギーの診断

食物アレルギーの診断の基本は詳細な問診であり、その診断は、原因食物を日常の食生活から1~2週間ほど除く除去試験に、その後実際に食べてみて反応を見る負荷試験を行う必要があります。しかしながらこのような検査をすることは大変手間であり、実際は血液検査や皮膚テストだけで判断されることが多いと思われます。

食物アレルギーの治療

食物アレルギーの治療では、アナフラキシー回避のためのアレルゲン除去食が重要になります。乳幼児期の発症が多いことから、代替食による栄養補充を欠かすことができなくなります。
除去食事療法は必要最小限の除去食を原則としています。アレルゲン食品によ誘発からの回避として、原因食品の完全な除去食を行うことが望ましいとされています。最近では加工食品などの包装食品にはアレルゲン表示が義務付けられており、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツは表示を確認して購入する必要があります。
食物アレルギーを伴う乳児アトピー性皮膚炎では、色々な種類のアレルゲンの感作を受けやすく、食物アレルギーは皮膚症状の悪化、憎悪の原因のひとつとされています。また母親のアレルゲン食品摂取により、母乳に食物アレルゲンが移行し、母乳による影響が見られる場合は、母親の除去食も必要になってきます。
アナフラキシーなど微量のアレルゲン食物で誘発されやすい食物アレルギーでは、アレルゲン食品の摂取でアナフラキシー症状を繰り返すことも多く、重症化することもあるので、完全除去食により誘発症状を避け、症状の安定化を図る必要があります。
アレルゲンの強い食物は除去しますが、食物アレルゲンによっては、調理や食品加工段階で加熱や発酵などによりアレルゲン性が低下するものもありますので、そのような場合は加工を施した後、アレルゲンが陰性になったことを確認して利用することもあります。
食物アレルギーの原因となる食べ物は栄養価の高い食物が多いので、特に成長期の乳幼児や学童では代替食品を使った栄養補充が必要となってきます。
アナフラキシー児や多種食物アレルギーを合併したアトピー性皮膚炎では、症状誘発に対する不安や、料理に対する労作、外食ができないなど精神的ストレスも多いと思われます。最近ではアレルギー用食品や代替食品なども市販されていますので、これらを上手に利用して食物アレルギーとうまく付き合っていただけたらと思います。

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