●事業計画

平成29年度 一般社団法人和歌山県薬剤師会事業計画

日本の人口に大きな割合を占める団塊の世代の方々が全て75歳以上になる2025年に備えて、国は地域包括ケアシステムという新しい概念の医療・介護政策を打ち出し、着々と推し進めています。

昨年和歌山県医療構想が策定され、その施策が始まっています。また、平成29年度は新しい和歌山県医療計画が作成される予定です。また、私たち薬剤師には厚労省から「患者のための薬局ビジョン」が示され、それに基づいた「かかりつけ薬剤師・薬局」、「健康サポート薬局」への積極的な取り組みが求められています。

この延長線上として、平成30年4月には医療・介護の同時改定が行われます。社会保障費の伸びが厳しく抑え込まれる中、構造的にも財政的にも大変厳しい内容になることが予想されます。

今年度はこれらの政策・施策を実現させるために多くの議論や事業が行われる変動の年、今後の医療・介護体制を決める大きなターニングポイントとなる年だと考えています。

この様な状況の中で私たち薬剤師は、能力を高め、責任ある業務をきちんとこなし、地域包括ケアシステムの中ではもちろんの事、それ以外の分野においても様々な場面においてその能力を発揮し、地域住民に理解され、信頼され、無くてはならない存在にならなくてはなりません。
そのような存在になることによって、まもなく開校する県立医大薬学部等からの後輩薬剤師に道を広げることになると信じています。

上記を実現するために、平成29年度は、

地域包括ケアシステムを始めとする、医療・介護に貢献する薬剤師を支援する事業
医療・介護以外で地域に貢献する薬剤師を支援する事業
和歌山県で働こうと希望する薬剤師・薬学生を支援する事業
これらの事業に従事する薬剤師の資質をより一層高める事業
上記事業を達成するため、多方面との連携および広報する事業

この5事業を公益性の高い事業として実施していきます。

この5事業を推進するために、収益事業、共益事業も積極的に展開していきます。

また、今後の薬剤師会事業推進の基盤として、老巧化した現会館に代わる新会館建設事業を進めます。

<その1> 公益事業(実施事業)

Ⅰ.医療に貢献する薬剤師を応援する事業

①医薬分業推進事業

薬剤師は、その任務を薬剤師法第1条において、調剤・医薬品の供給その他薬事衛生を司る事によって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する旨規定されている。県民が、医療機関から院外処方箋の発行を受け、薬剤師法第1条に基づきかかりつけ薬剤師から副作用や重複投薬のチェック、投薬内容の説明や服薬指導等を受ける事によって、より安全で高度で安価な医療を受ける事が出来る医薬分業を推進するために以下のような事業を行う。

(1) 医薬分業のメリット・薬剤師職能のPR

目標:医薬分業・薬剤師職能について、市民の理解を得る。
<具体的な活動案>
・表題の2点をPRするリーフレットを作成。各会員薬局にて配布して頂く、各地域での健康まつりイベントで配布する等、啓発のために活用して頂く。

(2) 残薬解消への取り組み

目標:医薬分業の経済的メリットを示す。残薬を解消することで患者側にもメリットがあることをPRする。
<具体的な活動案>
・県下全薬局で残薬解消の啓発を行うため、回収袋・ポスター・リーフレットを少量ずつ無料配布。
・追加で回収袋を必要とされる場合は販売を行う

(3) お薬手帳の普及活動

目標:薬局のかかりつけ機能の一つとしてお薬手帳を普及させる。
<具体的な活動案>
・啓発用のお薬手帳を用意し、必要に応じて提供する。

②医療保険、介護保険等の研究事業

会員を含む地域薬剤師が正しい知識で保険調剤を行い、国の医療政策の実現に貢献するとともに、県民に対して法律に基づいた正しい医療提供を行えるよう、研修会や広報等を行う。また、国民健康保険連合会、社会保険支払基金に審査委員を派遣しレセプト審査を行うと共に、近畿厚生局が行う保険薬局への指導・監査に立会、県民が正しい保険医療を受ける一助となす事業

(1) 新たな調剤報酬体制への対応
(2) 在宅薬剤管理指導業務推進への対応
(3) 後発医薬品使用の更なる促進への対応
(4) 近畿厚生局指導への協力及び対応
(5) 国保連合会、基金への協力及び対応
(6) 円滑な調剤業務(請求)のための情報提供

③在宅医療推進事業

(1) 在宅医療に関する研修会の開催

・紀北・紀南での開催

(2) 無菌調製研修会の継続(各地域の基幹病院の薬剤師を招いて開催)

・各地域薬剤師会での開催のサポート
・携帯型クリーンベンチの活用・ポンプ操作・輸液等の基礎知識の習得

(3) 他職種に対して薬剤師の在宅業務の広報

・マップの活用等
・各地域医師会在宅サポートセンターとの連携

(4) 学会発表のサポート
(5) 医療用麻薬適正使用

・麻薬譲渡グループ活用による医療用麻薬の適正使用

④薬剤事故防止事業

事件・事故及び幸いにも事故にならずに済んだヒヤリハット事例や、またそれらを防止するアイディア・工夫を収集し、会員へ情報提供する。県民が安全で安心できる医療を受けられる環境づくりや薬局における安全管理対策の整備の支援を行う事業。

(1) 調剤事故等の会員への周知

・調剤事故等の事例を、会員に向けて定期的に情報提供。

(2) 「日本医療機能評価機構」の周知

・日本医療機能評価機構への参加登録の啓発。
・「はまゆう(会報誌)」等を利用して、参加登録を啓発。

(3) 調剤事故防止マニュアルモデルの作成

Ⅱ.地域に貢献する薬剤師を応援する事業

⑤地域保健推進事業

健康や病気が、社会的、経済的、環境的な条件に影響を受けることが認められてきている。健康を保持・増進するためには何が必要なのか、何が求められているのかを理解し、地域住民の健全で安心・安全な生活を確保するための商品やサービス の有効性と需要を検証する事業。

これまでのような栄養・食事、運動の支援ばかりではなく、健康へ影響を与えるとされる社会的要因を理解し、個人の望みを明確化したり、健康状態の可視化や薬剤師の人間力向上など健康支援に役立つと考えられることを検討する。

⑥セルフメディケーション支援事業

「病気にならない体作り」「自分の健康は自分で守る」等、市民のセルフメディケーション意識を高め、市民がいつまでも元気で、自分の事は自分で出来る生活を維持する一助とするとともに、医療費の高騰を抑える事業。

・和歌山県内各地域薬剤師会等で開催する、市民公開講座や健康や薬に関する催しを応援し、県民のセルフメディケーションへの意識や取り組みを支援する。
・地域の薬局・店舗販売業の薬剤師や登録販売者を通じて市民に役立つ情報提供や指導が出来るように、研修会開催や情報提供を行う。
・医薬品医療機器法等に基づき、正しいOTC薬や薬局製剤の販売方法等を指導する等の活動を行う。
・薬局製剤普及を目指し分譲システムの構築等の環境整備を行なう。
・健康サポート薬局届出への対応
・セルフメディケーション税制への対応

⑦学校薬剤師への支援事業

和歌山県内の幼・小・中・高校で活躍する学校薬剤師が行う「学校環境衛生検査」「学校給食法に則った検査」「薬物乱用防止教室」「おくすり教室」などへの支援を行い、園児・児童・生徒が正しい薬の知識を持つと共に快適な学校環境のもとで勉学に励むことができるような環境整備の一助をなす事業。

(1) 学校保健活動の普及、充実

・全学校保健調査の実施
・医師会、歯科医師会等学校保健関係団体との連携強化
・学校薬剤師報酬額の適正化
・薬の適正使用など健康教育の推進

(2) 薬物乱用防止活動の支援

・教育委員会・薬務課・警察関係等との連携を図り、学校薬剤師の薬物乱用防止啓発活動を支援する

(3) 標準学校薬剤師モデルの確立

・学校における環境衛生検査項目の統一化
・新人学校薬剤師等への講習
・学校薬剤師のスキルアップを図るための研修、講習会の開催

(4) 講師の育成

・各地域学校薬剤師会における、薬物乱用防止・薬の正しい使い方等の講師の育成
・講師に対する資料等の支援

⑧災害対策事業

−防災対策には、十分とか絶対大丈夫というものはありませんー
近い将来、起こると考えられている南海トラフ大地震等の大規模災害に対して、その規模が想定外であっても対応できる仕組み作りと備えの充実を図る。

(1) 災害時連絡網、災害時マニュアル(BCP、要綱等)、備蓄薬品のメンテナンス
(2) 災害時の人員派遣体制について整備を進める
(3) モバイルファーマシー(移動薬局)搭載薬品リスト・備品のメンテナンスと訓練への活用
(4) 定期的な防災訓練の実施

地域ごとの防災訓練への積極的な参加と地域の防災担当者との連携の強化

(5) 防災関連勉強会の開催

・各地域、県外で開催されているトリアージ関連の研修会への参加を推進
・災害薬事関連のリーダーを養成:PhDLs(主催:日本集団災害医学会)プロバイダーコース受講の推進

⑨広報・情報事業

出来るだけ多くの薬剤師業務に関わる情報を収集し、その情報を各会員に適正に提供できるよう各種ICTの活用を検討する。また、県民が薬や環境衛生の正しい知識を持って安心で安全な薬物療法等を受けられるように、各方面に情報提供するとともに、薬剤師による医療提供や公衆衛生への貢献業務への理解を深める事業。

ア.広報事業

(1) 対内的な広報の充実

・県薬剤師会会員の皆様に必要な情報提供を行なう。
・日本薬剤師会や県薬剤師会の動き、また県薬各委員会の積極的な活動を月刊会報「はまゆう」、県薬ニュース等に掲載するために各委員会の協力を得て充実させていく。
・情報委員会の協力のもとデジタル化への推進。

(2) 対外的な広報の充実

・「薬局新聞」として健康衛生に関する記事を作成し、地域住民の皆様に健康情報を発信する。
・各委員会の協力を得て国民の皆様や関係団体向けの広報活動として、水質検査事業、薬物乱用、禁煙、セルフメディケーション等、薬剤師会、会員薬剤師等が積極的に地域において行なっている事業、活動等している状況を広く知っていただけるようなPR方法を考える。

(3) 広報にかかわるスポンサー企業の確保

イ.情報事業

(4) ホームページの更新、継続
(5) 薬事情報センターの運営
(6) 同報FAXのペーパーレス化について検討
(7) メールマガジン事業の実施
(8) web会議システムの運営(青年部会連携)
(9) 研修会web中継の実施(研修委員会・青年部会連携)
(10) 青洲リンク(医薬分業対策委員会連携)
(11) 和歌山県版電子お薬手帳の普及活動
(12) 保健医療福祉分野公開鍵基盤(HPKI)について研究

Ⅲ.薬剤師の質を高める事業

⑩薬剤師の卒後教育事業

会員および会員以外の地域薬剤師の教養や知識・技能を高め、県民により高度で安全で安価な医療をすべての薬剤師から同じようなレベルで提供できるようにするため、会員及び会員以外の地域薬剤師を対象に、各種研修会を実施するとともに、会員に対してはさらに日本薬剤師会生涯学習支援システムを円滑に活用した様々な研修会を重ねて実施する。

(1) 和歌山県薬剤師生涯研修制度の運営
(2) JPALSの普及および推進
(3) 県薬専門部会および地域薬剤師会による研修会の充実および支援
(4) 研修認定薬剤師制度の充実
(5) 専門疾患領域継続研修受講支援

⑪学術推進事業

会員及び会員以外の県内薬剤師が学術的に資質向上が図れる情報提供に努める

・はまゆう等を通じて定期的に学術情報を発信していく
・研修会開催における学術支援の提供を図る
・エビデンスが得られる情報収集・提供を通じて、薬剤師の職能が高められる基盤を構築する

⑫薬学実習生受入事業

薬学部5年生の必須科目である薬局実務実習11週間を実施するため、認定実務実習指導薬剤師養成と更新、スキルアップを図り、県内実習希望学生を受入薬局へ適切に配置し、受入薬局内での困難な実習を支援する。また、31年度より開始される改訂モデル・コアカリキュラムによる実務実習への移行を準備する。学生実習中においては薬剤師会活動を十分に広報し、将来優秀な薬剤師となるよう教育するとともに県内への就業を推進する。

(1) 薬学生実務実習受入体制の整備と強化

・県内薬局実務実習実施参加への広報および要請
・認定実務実習指導薬剤師養成のためのWSへの参加者およびタスクの人選
・認定実務実習指導薬剤師養成のためのビデオ講習会の開催
・認定実務実習指導薬剤師更新のためのビデオ講習会開催

(2) 実務実習実施のための整備と強化

・認定実務実習指導薬剤師のスキルアップに対する支援
・認定実務実習指導薬剤師に向けて改訂コアカリキュラムによる実習内容の周知徹底
・実習生のための集合研修の実施と検証
・県内実務実習評価のための薬学生アンケート実施

(3) 大学及び関係団体との連携

・連絡会の開催(各大学、調整機構)
・近畿地区調整機構会議への参加(各大学、調整機構、各府県薬剤師会)
・地域薬剤師会間の連携(委員会開催)

(4) 薬剤師会活動への貢献

・進学セミナーへの参加(実習生による学校紹介および参加者へのサポート)
・県内就職セミナーの広報
・実習修了生同窓会開催による薬剤師会活動の広報

⑬若手薬剤師育成事業

次世代の和歌山県の医療や公衆衛生の一翼を担うべき若手薬剤師が専門知識だけに偏らず、幅広い教養や倫理感を身につけてバランスの取れた社会人・薬剤師として県民に貢献できるように、また、災害等の非常時には、医療救護所や避難所等の被災現場で薬剤師が組織的に活動できるためのリーダー的存在として行動出来るよう教育する事業。各種会議・研修会に地域薬剤師会から参加しやすくするため、又、非常時における連絡手段の一つとして、オンライン会議システムの運用を充実させる事業。

(1) 若手スキルアップセミナーの企画・開催
(2) web会議システムの運営・普及活動(情報委員会連携)
(3) 研修会web中継の実施・システム問題点の改善(研修・学術・情報委員会連携)
(4) 生涯学習システムの構築・運営(研修・学術委員会連携)
(5) 他府県薬スキルアップセミナーへの参加
(6) 各種補助金事業への協力
(7) 会員増を目標とした事業の企画

⑭女性薬剤師支援事業

薬剤師の半数を占める女性薬剤師が、家庭と職場を両立させ、出産・育児・介護等で薬剤師としての業務に従事しない期間があっても、安心して職場復帰が出来るよう、知識や技術レベルの維持・向上や職場環境の整備を支援していく事業。女性薬剤師部会では、女性の目線で、日常業務に役立てるテーマを中心に実技を取り入れた研修会を開催していく。今後もこの研修会を中心に薬剤師が円滑に、県民の健康で衛生的な生活の確保・向上に寄与することが出来るようにする。

⑮薬剤師就業促進事業

薬科大学、薬学部のない本県において、貴重な人材である未就業薬剤師が薬剤師バンクに登録し、希望する地域薬局等に就職を斡旋することにより薬剤師を確保し、薬剤師が県民の健康を支援する体制を構築する。 また、薬科大学等で実施している就職活動にも積極的に参加し、県内への就職を希望する学生のために県内薬局の情報提供を行い、県内就職率の増加を図るための事業。

・県内で実習を行った卒後学生の県内定着推進を図るため実習終了生の同窓会を開催、就職動向の調査
・県内の薬学生を増やすため薬学部進学セミナーを開催
・就職セミナーの開催(和歌山県薬局協同組合との共催)
・復職支援事業
・和歌山県立医科大学薬学部新設のための事業

⑯「薬物乱用防止・禁煙・アンチドーピング推進」対策事業

(1) 薬物乱用防止

1.行政機関等と連携し、「ダメ、ゼッタイ!」運動の継続、発展
・街頭での啓発活動の実施
・市民公開講座の開催
  スポーツ選手向け講習会等

2.学校薬剤師部会と連携し、児童・生徒向けの学校薬剤師の活動を支援
・アイデアやアイテムを各方面に提供

(2) 禁煙

1.認定禁煙指導薬剤師の育成・スキルアップ
2.学薬と連携し子供向けの啓発活動の拡充
・子供たちが目で見て分かるような科学実験や映像を提供
3.学校関係者向けの禁煙指導、サポート
・子供たちへの啓発が進んできている中、家族や教師、バスの運転手など子供たちを取り巻く大人たちの喫煙が、禁煙への説得力を欠く要因となっている。その方々に、一緒になって禁煙に取り組んでいただき、その姿を子供たちに見てもらう。

(3) アンチドーピング活動

1.専属スポーツファーマシスト制度の充実
2.紀の国わかやま国体での経験を活かし、後催県への報告・アドバイス
3.東京オリンピックに向け、和歌山県での取り組みへのサポート体制の充実
4.スポーツファーマシストの認知度のアップ
自己満足の活動では終わらぬよう、各関係機関との連携を強化し、選手を取り巻くものの一員として、薬剤師として何をすべきかをじっくり考え動いていく。

Ⅳ.各事業効果や実績を多方面に広く広報する事業

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの事業の成果を、学術・情報・広報を通じ、当会ホームページや各種会 議・会合、出版物、学会発表等で広報する。

<その2> 収益事業

Ⅴ.検査センター事業

飲料水・排水・井戸水・お風呂等の各種水質検査、温泉水検査、土壌検査等を通じて、県民の衛生的で安全な生活に貢献する。

Ⅵ.会営薬局事業

日赤前薬剤師会営薬局・おくすりセンター薬局を運営し、県民の安心・安全な薬物療法に貢献するとともに、会員への医薬品分譲や最新調剤技術の提供等を行なう。

Ⅶ.賃貸・物品販売事業

院外処方箋FAX送信コーナーの運営、お薬手帳や各種帳簿類の販売、薬剤師会館駐車場や会議室の賃貸等を行い、会員の便宜を図る。

<その3> 共益事業

Ⅷ.共益事業

①会員相互の懇親・交流を図り、冠婚葬祭のお知らせや表彰記念等のお世話を行なう。
②老朽化する現薬剤師会館を耐震・耐久性に優れ、災害時の基地機能を持った新しい会館に建て替えるための事業を行なう。
 建設のための寄付は今までどおり募集を続ける。

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